介護スタッフが「育たない」を解消するための3つの取組とは?

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これまで、年間150日以上の研修と毎週多くの事業所へお伺いし、施設長・理事長との打ち合わせをしてきました。それこそ、過去在籍していたスタッフで苦労してきた話や既存のスタッフで今まさにトラブルから裁判を起こそうとしている方まで見てきました。
私も日本福祉大学を卒業後は、訪問入浴会社・特別養護老人ホームにて生活相談員兼介護スタッフとして従事してきましたが、法人の人員配置の事情もあり人事の問題にもどっぷり入り込むこともしばしば。当時は、スタッフに関する悩み、例えば「人が集まらない」「人が育たない」という悩みが多くスタッフが少ない中でのシフトの組み合わせ、異業種(看護師、介護士、栄養管理士等)との連携など、悩みはつきませんでした。

一方で、当時と今と何が変わっているのか?というと、実は本質は全く変わっていません。ただ、今と昔と悩みは一緒なので、これまで「人が育たない」という悩みを解消してきた介護事業所もあります。どんな考えでどんな取組をしてきたのか?今回はこれまで関わった介護事業所への支援を通して今後介護事業所が取るべき人事戦略を考察し、まとめてみました。少しでもお役に立てましたら幸いです。

前提①人を集めても効果はない
スタッフを増やすことで事業を安定させるという考えもあるでしょう。スタッフが増えた分だけ、業務の負担が軽減され、ご利用者と向き合って良質なサービスが提供できる
と思っている方も多いです。ただ、本当にそれで「スタッフが育たない」が解消されるのでしょうか?実は、スタッフを集めることに注力したことで既存のスタッフが次々と辞めていったという事例もあります。スタッフを育てるために必要なのは「スタッフを辞めさせない事業所づくり」という考えを持つことが大事です。

前提②スタッフの本音から読み取る
実際に現場のスタッフは何を思って仕事をしているのか?そもそもなぜ介護業界を選んだのかというと、最も多いのが「働きがいのある仕事」だから。また、現在仕事をしていて何に満足を感じているのかというと、最も多いのが「仕事の内容・やりがい」(ともに、介護労働安定センター介護労働実態調査より)
つまり、「やりがい」が仕事を選ぶ・続けることの一つのキーワードになるわけです。スタッフを育てるためには、スタッフのやりがいはどこにあるのか?スタッフにやりがいを持たせるためには何が必要なのか?の答えを探し、実践していくことが必要になります。
以上の前提を持って、スタッフを育てるための人材戦略は次の3つになります。

1,育成の仕組みの見える化
育てる環境づくりで最も大事なのが、「仕組みの見える化」です。研修はやっている。評価制度はある。給与・賞与の規定は持っている。そういった仕組みに対して、「どうすれば昇格するのか?」「誰が評価をするのか?」「いつ研修を実施するのか?」といった具体的なルールを作る必要があります。スタッフは、現在位置が分からないと不安になります。また、将来どうなるのかが分からないと、同じように不安になります。現在と将来の位置を見える化する。つまり、何をすればいいのかが分かるようになるだけでスタッフの不安を解消し、「こうすればいい」というやりがいを与える効果があります。ポイントは、それぞれの規定・制度に対して「5W1H」を加えていくこと。そして、それぞれを繋ぎ合わせていくことです。今まであった仕組みに対し、点を線で結んでいくことが「見える化」になります。

2,人が育つための人事評価制度の策定
人を育て定着させていくためには、人事評価制度は必須です。なぜなら、人事評価制度は「認める場」として最適だからです。人を評価するとは、今までどんな行動をしてきたのか、どんな実績を上げたのかを観察する必要があります。そして、今までの取組を本人に伝えます。「あなたは、これが出来るようになりましたね」これだけでも、
スタッフは「見てくれている」「認めてくれた」という想いを与えます。マズローの欲求5段階説でいう「承認の欲求」のことです。時代の変化によって、スタッフの考えは変わってきました。今までは、生理的欲求や安全の欲求、つまり「生活の保証」「長期雇用の安心」を満たすことが第一でした。ただ、今は、承認の欲求、自己実現の欲求、つまり「認められたい」「自分らしく働きたい」を満たすことがその会社で働いていることに満足を感じ、更なる高みを目指す目安になるのです。人事評価制度は、「人材育成のために活用する」ものです。そして、評価面談は「今までやってきたことを認める場、納得する場」であること。そのために、評価表とは「ここで働く目的を振り返る用紙」であることです。人事評価制度の考え方、見直しをすることも必要になります。

3,リーダー育成
人を育てるにあたって、いくら良質な情報を伝えたり、難度の高い技術を教えても、それをどう納得させるかで行動に移すか移さないかが変わります。つまりスタッフは、何を教えてもらうかよりも「誰に教えてもらうか」によってやりがいの度合いは変わります。「あなたが言うのだったら」という想いにさせるには、リーダーの育成は必須です。
リーダー本人に高い技術と濃い知識を身につけることも大事ですが、優先順位としては「人間力」を高めることです。例えば、「リーダーの話はしっかりと聞きたい」というスタッフとの信頼関係、「分かりやすい」と思わせるスタッフへの伝え方、「認めてくれている」と思わせるスタッフへの聴き方など。距離を近づけながらも、スタッフに安心感を与えるようなリーダーが、スタッフのやりがいをもたらす一つの方法になります。

 

いかがでしたでしょうか?
「人が育たない」という大きな悩みに対して、実際に成功している介護事業所が実践していることをまとめました。今後の人材戦略のお役に立てましたら幸いです。
本記事は、2016年5月に開催したセミナー【「人が集まらない・育たない」を解消する介護人材戦略セミナー】の一部の内容になります。。現在、さらに学びたいという方のため、以前開催した【全国の介護スタッフ10,000人の「意識」「行動」を変え、人材定着に結び付く 『介護現場における「人材戦略」のポイント』】のセミナー音声(約70分)をご提供しています。もっと介護人材のことについて学びたい方は、ぜひこちらのデータをご請求ください。

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セミナー内容
◎人財育成に必要なのは「人間力」
・これからの介護人財に求められる 3つの能力・資質
・いよいよ人間力の時代が到来
・人間力を高めるために必要な3つの要素
・こころを磨くための4つの言葉
・自己反省の心からスタッフの距離を縮めていく
◎人事評価制度でスタッフのモチベーションアップ
・評価制度に必要なモデル行動とは?

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後藤功太(ごとう こうた) プロフィール
1982年8月生まれ。静岡県浜松市出身。日本福祉大学社会福祉学部卒業後,特別養護老人ホームに生活相談員兼介護職員として従事。独自のリーダー論を基に職場環境を改善したことで,離職率を1年で20%から5%まで改善。2014年に独立し「ふくしえん社労士事務所」を設立。人材定着に結びつけるための人事評価制度・研修を主な事業とし,主な著書に『ダメリーダーでもできた!できるチームを動かす5つのステップ』(秀和システム)がある。
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